業務効率化 2022.11.04

テレワークで生産性は低下する?各種調査結果をもとに実態や理由を解説

クラウドPBX リモートワーク 在宅ワーク

働き方改革や新型コロナウイルス感染予防対策の一環として近年急速に普及したテレワークは、ニューノーマルな働き方として定着しつつあります。オフィスコストの削減や人材獲得・離職防止、事業継続性の確保などのメリットが注目を集める一方で、生産性低下のデメリットを懸念し、テレワーク導入を留保する企業も少なくありません。

この記事では、日本国内の調査結果をもとに、テレワーク導入で生産性・業務効率に与える影響、および生産性が低下してしまう原因や改善策を解説します。

テレワーク導入で生産性は低下したのか?

東京商工会議所が実施した「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」によると、東京23区内の中小企業におけるテレワーク実施率は37.8%に留まります。同調査では従業員規模別のテレワーク実施率が、301人以上で63.6%、101~300人以下で61.4%、51~100人以下で44%、50人以下で28.9%となっており、規模が小さいほど実施率が低い結果となっています。

また、今回テレワークを実施していないと回答した企業のうち、テレワークを実施できない理由として「業務の生産性低下」を挙げている企業は、(テレワークを)一度も実施したことがない企業では、「テレワーク可能な業務がない(59.9%)」、「出勤している人数が少ないと事業運営できない(25.0%)」に続き、3番に多い19.3%。(テレワークを)実施したことがある企業では、「テレワーク可能な業務がない(47.4%)」に続いて2番目に多い、37.0%となっています。

業務・事業の特性や環境整備などの問題と並んで、テレワーク導入による生産性低下を不安視している企業が多かったことが分かります。

参照:中小企業のテレワーク実施状況に関する調査(PDF)|東京商工会議所

また、内閣官房・経済産業省が公表している「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ 」では、日本の在宅勤務の生産性について、「在宅勤務の方が低い」と回答した割合は労働者が82.0%、企業が92.3%にものぼります。

生産性の低下要因としては、「対面での素早い情報交換ができない」が最も多く38.5%、続いて「パソコン、通信回線などの設備が劣る」で34.9%、「法令・社内ルールで自宅からではできない仕事がある」33.1%、「自宅からではできない仕事がある(法令・社内ルール以外)」32.5%となっています。

多くの企業と労働者が、在宅勤務における生産性低下を実感していることがうかがえます。

参照: コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ(PDF)|内閣官房・経済産業省

ただし、テレワークによる勤務が必ずしも生産性に悪影響を及ぼしているわけではありません。

経済産業省のホームページでは、「(労働生産性指数)で比較してみると、テレワーク率の高い情報通信業や金融・保険業では、感染症拡大の影響等があった2020年、2021年においても労働生産性に大きな変化は見られません」としています。

続いて、テレワーク率の低い業種では月によって労働生産性が大きく変動。それは、「対面型業務の制限などの影響を受け、労働生産性の低下を余儀なくされた」からではといった分析がなされています。

テレワークという働き方自体が労働生産性低下の直接の要因ではなく、一企業では対策を講じることのできない社会状況に加え、業界・業務の特性や導入方法、事前準備などがテレワークに対応するよう最適化されていないことが、生産性に影響を及ぼしている可能性があると考えられます。

「テレワーク=生産性低下」としか捉えられない一部の調査結果にのみとらわれず、テレワークでも生産性を落とさないための対策を十分に講じることこそ重要といえそうです。

参照: テレワークが産業に与える影響;事業継続に強い力を発揮|経済産業省

テレワークで従業員の生産性が低下する理由

テレワーク導入後に生産性が低下してしまうのは、どのような原因が考えられるのでしょうか。次の3点から考えていきましょう。

従業員同士のコミュニケーション

サイボウズ社が実施した調査では、在宅勤務をする人に「コミュニケーションのしやすさ」を質問したところ、「業務に関わるコミュニケーション」「業務に直接関わらないコミュニケーション」いずれについても、50%を超える人が「しにくい」と回答しています。

参照:テレワークでの職場内コミュニケーション 「業務の話」は1日あたり「30分未満(0分含)」6割 「業務以外」は「0分」4割 ─若手ほど「コミュニケーションしにくい」と感じている傾向が|サイボウズチームワーク総研

実際、オフィスに出社して顔を合わせながら対話する従来のコミュニケーション方法と比較すると、テレワーク環境下では従業員同士のコミュニケーションに課題が発生しやすくなります。

例えば、テレワークではメールやビジネスチャットなどテキストでのコミュニケーションが中心となりスピーディーな情報交換がしづらい、気軽に悩みを相談ができず孤独や不安を感じやすい、などが課題になりがちです。従業員同士の意思疎通が不十分になり、チームメンバーがお互いに協力・連携しあうことができないため、チームワークに影響を及ぼす可能性があります。

また、テレワークでは相手の状況やタイミングを把握しにくく、業務的なコミュニケーションまで遠慮してしまい、業務の進行が鈍くなってしまうケースがあります。

そのような場合、業務に関わらないコミュニケーションとなると一層取りづらくなります。業務中のちょっとした雑談がなくなると生産性は上がるように思えますが、従業員同士がお互いに心理的な距離を感じてしまい、組織としてのパフォーマンスが低下してしまうことも少なくありません。

業務環境の整備

PCや通信環境の性能、集中しにくい執務環境など自宅環境の整備が不十分なことに起因して生産性が悪化するケースがあります。例えば、自宅や社内のネットワーク環境が整備されていないと、web会議の音声が途切れたりフリーズしたりしてしまう、社内のファイルサーバのファイルを開くのに時間がかかるなどの課題が発生します。

他にも、電子化されていない請求書や郵便物を処理する業務、営業や接客・オフィスの固定電話での電話応対のために定期的な出社が必要となるケースなど、業務ルールやシステムの整備が追い付いていないことにより、生産性が低下してしまうケースもあります。

また、このケースでは一部従業員の業務負荷が高くなるため、従業員の間で労働環境に格差が生まれ、不平等や不満を感じる従業員が増えてしまう弊害もあるでしょう。

業務環境の整備は、テレワーク導入時の制約になりそうな課題に対してシステム化を進めたり、社内ルール・制度を変更したりといった対策で解決できる課題も多いため、入念な事前準備が不可欠です。

オン・オフの切り替えの難しさ

自宅やシェアオフィスなどのテレワーク環境は、上司の目が十分に行き届かない環境であるため、オンとオフの境界があいまいになり、長時間労働になりやすい、業務に集中できないといった課題があります。

一方、マネジメントの面では従業員の労働実態が把握できないため、上司は部下が「本当に仕事をしているのだろうか?」「プロジェクト進捗は問題ないのだろうか?」と疑心暗鬼になるケースも見られます。場合によっては、部下の行動を逐一チェックして過度に現状把握や進捗報告を求めてしまう「マイクロマネジメント」につながり、部下のモチベーションや主体性の低下、チームとしてのパフォーマンスの低下を招きかねません。

テレワークを導入して終わりとするのではなく、テレワーク導入後に従業員の労働実態、業務進捗を正しく把握する仕組みが整備されていないと、生産性の悪化につながります。

テレワークで生産性を上げる方法

テレワーク環境下で生産性を落とさず、逆に生産性を高めるためにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここからはテレワークで生産性を上げるために必要な3つのポイントを紹介します。

業務環境を整備する

まずは、社内の業務環境・通信環境を整備するとともに、それらに関連するガイドライン策定や従業員教育を実施しましょう。

また、社内ルールやシステム都合による業務生産性の悪化が懸念されるのであれば、業務サービスのペーパーレス化・クラウド化などを検討します。例えば、「ワークフローシステム(電子稟議)を導入し稟議起票から承認・文書保管までの一連のフローを電子化する」、「オフィスの固定電話をテレワークでも受けられるようにするためにクラウドPBXを導入する」などの方法です。

業務環境整備、業務効率化につながるクラウドサービスは、「テレワーク環境をより良くするには?おすすめのクラウドサービスも紹介」で解説しています。併せてご覧ください。

従業員同士のコミュニケーションを工夫する

従業員同士のコミュニケーション活性化を狙ってチャットツールやweb会議などのコミュニケーションツールを導入するのも効果的です。チャットツールはチーム内の気軽な会話を促すためのツール、web会議は画面越しに相手の顔を見ながら意思疎通を図るためのツールと、ツールごとに特性や強みがあります。複数のツールを導入し、利用目的に合わせてツールを柔軟に使い分けることで、コミュニケーション効率は格段にアップするでしょう。

また、ツール導入に合わせて、上手くツールを使うためのルール決めも一緒に行うとより効果的です。例えば「状況やスケジュールは積極的に共有する」「レスポンスは迅速に(ただし相手には求めない)」「伝えたい要点は簡潔に」「雑談を意識的に取り入れる」「web会議は原則カメラをオンにする」などのルールを作成します。

テレワーク環境下でのコミュニケーション課題については、「テレワークの重要課題 社内コミュニケーションの取りづらさをどう解決する?」で解説していますので、ぜひご一読ください。

 

適切な労務管理を実践する

テレワーク環境下において適切に労務管理を実施するにはテレワーク時の就業規則や契約条件、勤務時間の記録方法などを事前に整備しておくことが重要です。労務管理のルールやガイドラインがあいまいな状態では、従業員に負担がかかる、コンプライアンス違反につながるなどの可能性が考えられます。

また、従業員の業務状況を正しく把握するためには情報共有・タスク共有のためのツール、勤怠管理ツールなどの導入も効果的です。業務開始・終了連絡をチャットでメンバー宛に連絡する、業務資料・進捗資料はクラウド上に保管していつでも参照できるようにしておくなど、お互いの状況や業務進捗を「見える化」するための仕組みを作ります。

さらに、テレワークでは部下の働きぶりを直接見ているわけではないので、従来のような時間での管理やプロセスの評価制度を維持するのは困難になります。最終的な業務成果による評価比重が大きくなりますが、結果につながらなかったとしても、従業員の頑張りを適切に評価するための仕組みづくりも重要でしょう。

テレワークで生産性を向上させるには事前準備&改善が不可欠

オフィスコストの削減や人材獲得・離職防止、事業継続性の確保など、テレワークを導入するメリットは広く知られるようになりました。しかし、テレワークをただ導入するだけでは十分なメリットを享受できないばかりか、生産性低下につながりかねません。

テレワーク導入をスムーズに進め、生産性を維持・向上させるためには、テレワーク中のコミュニケーション活性化や設備・環境の事前整備を万全にすることが必要です。

テレワーク導入を決めたら、まずは事前準備を十分に行いましょう。

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