クラウドPBX 2022.11.04

BCP対策の視点で考えるテレワーク環境

BCP対策 クラウドPBX テレワーク

昨今BCP策定の重要性が叫ばれています。しかし、帝国データバンクが実施した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2022 年)」では、BCP を「策定している」とした企業は 17.7%にとどまっており、その理由のトップは「策定に必要なスキル・ノウハウがない」となっています。そのように自己評価している企業の中にも、働き方改革やコロナ禍においてテレワークを導入した企業はあるのではないでしょうか。テレワーク環境は、BCP対策としても有効です。

本記事では、テレワーク環境がBCP対策になり得る理由や、BCP対策としてテレワークを継続運用するためのポイントなどについて解説します。

 

テレワーク環境がBCP対策に活用できる理由

働き方改革やコロナ禍で普及したテレワーク。厚生労働省によれば、テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のことです。

インターネットやクラウドサービスなどを活用することで、自宅や出先など、会社のオフィス以外の場所でも業務が遂行できます。このようなテレワーク環境は、さまざまな理由で出社できない状況になっても、従業員が業務を続けられる環境でもあるのです。

BCPとは自然災害やテロなどの緊急時でも事業継続や早期復旧するためにあらかじめ策定しておく計画のことです。

テレワークはそのままBCP対策として利用できる環境だと言えます。万が一従業員が出社できない状況になっても、自宅やサテライトオフィスなどで作業ができるため、業務が完全に停止することはありません。また、企業の資産であるデータやシステムなどをテレワークのためにクラウド化していれば、何らかの理由でオフィスやシステムが使えなくなっても、データを守ることができます。

現在構築しているテレワーク環境は、BCP対策としても活用できることが分かります。

BCP対策としてテレワークを継続運用するためのポイント

BCP対策としてテレワーク環境を継続的に運用する際のポイントを紹介します。

長期的な視野で費用対効果を判断する

BCP対策としてテレワークを継続運用するにはコストが発生するため、躊躇する企業もあるかもしれません。しかし、テレワークをうまく運用できれば、生産性向上に寄与することも期待できます。

総務省が公開している「平成29年版 情報通信白書のポイント」では、「テレワークを導入している企業の方が、直近3年間に業績が増加傾向にある企業の比率が高く、また減少傾向にある企業の比率が低くなっていた」としています。「業績の違いは、売上高よりも経常利益においてより顕著である」と続けており、テレワークの導入により労働生産性が向上し、企業業績につながる良いサイクルを生むといった分析がなされているのです。

テレワーク導入は業績向上につながる可能性があることを理解し、一時的に発生するコストだけで判断することは避け、長期的な視野で検討することが大切です。

参照:平成29年版 情報通信白書|労働生産性向上にも資する「攻め」のテレワーク|総務省

改めてセキュリティを確認する

テレワークを導入した当初からすでにセキュリティへの配慮はしているはずですが、BCP対策としてテレワークを継続運用する場合は、改めてセキュリティについて確認しておく必要があります。万が一セキュリティに脆弱性があり、そこから情報漏えいにつながってしまっては、BCP対策としていざ必要なときに、テレワークを継続運用することが難しくなってしまいます。

現状を今一度確認し、まだ不十分であれば早急に対策を考えなければなりません。

加えて、テレワークの継続運用に際して新たなシステムやツールなどを導入する際は、機能面やコスト面だけでなく、セキュリティ面も忘れず確認しておく必要があります。

 

BCP対策としてのテレワークに役立つシステム・ツールなど

BCP対策を意識したテレワーク環境で役立つシステムやツールを紹介します。

すでに導入しているものもあると思いますが、不足はないか改めて確認しておきましょう。

サイバーセキュリティシステム・仮想デスクトップ

テレワークにオフィス外からのネットワーク接続やデータへのアクセスが発生する際は、セキュリティの脆弱性が情報漏えいにつながるリスクが高まります。

セキュリティガイドラインの作成やウイルス対策ソフトの導入などの対策は基本ですが、それに加えてテレワークにおいては従業員が自宅などで使うPCやスマートフォンといった端末の管理が重要になります。

例えば、以下のようなソリューションが考えられます。

  • EDR

EDRとは“Endpoint Detection and Response”の略称で、エンドポイント(端末)で脅威をDetection(検知)し、Response(対応)するセキュリティ技術のことです。

テレワークにおいて、オフィス以外の場所で従業員が利用するPCやスマートフォンなどの状況や通信内容などを常時監視し、不審な挙動やサイバー攻撃を検知し、管理者に知らせます。

また、次に挙げる2つの仮想PCも、端末でのセキュリティ強化につながります。

  • VDI

VDIとは、“Virtual Desktop Infrastructure”の略称で、仮想デスクトップのことです。サーバー上にデスクトップ環境があり、端末からインターネットを介してアクセスすることで、OSやアプリ、データを利用できる環境です。

VDIの利点は、情報漏えいリスクの低下です。従業員が使用する端末にデータやアプリ、業務で操作するOSすら存在しないため、手元の端末から情報漏えいが起こる可能性が極めて低くなります。

また、従業員に配布する端末の管理面において効率化が期待できます。従来は、テレワークに利用する端末のOSやセキュリティソフトの更新などを定期的にチェックする必要がありました。VDIでは仮想化されたデスクトップを管理すれば良いため、効率的な管理が可能になります。

ただし、VDI はネットワーク回線を使ってデスクトップのデータをやりとりするため、多くのネットワーク帯域を使います。

  • DaaS

DaaSとは“Desktop as a Service”の略称で、クラウドサービスとして利用できる仮想デスクトップのことです。VDIが自社内や自社が管理するデータセンターなどに構築する仮想デスクトップであるのに対し、DaaSは、仮想デスクトップをクラウドサービスとして提供するソリューションになります。

VDIと比べた場合、サーバーを用意したりデータセンターをレンタルしたりする初期費用などを軽減できたり、セキュリティを含めたサーバー管理負担の軽減ができたりするのが利点です。

コミュニケーションツール

BCP対策としてテレワークを行う際は、安否確認などにも利用できるコミュニケーションツールが必須です。

  • Web会議システム

離れていても顔を合わせて会議ができることから、テレワークを取り入れている企業ではコミュニケーションツールとしてすでに導入している企業が多いでしょう。Web会議システムがあれば、非常事態において一人ひとりの顔を見ながら安否確認ができますし、通常どおりの業務連絡も可能です。

  • クラウドPBX

クラウドPBXは、PBX(Private Branch eXchange;構内交換機)の機能を、クラウド上で提供するサービスです。

通常、会社の電話番号で電話の受発信をする必要がある場合は、オフィスの固定電話が必要です。しかし、クラウドPBXなら、インターネットを介してPBXが利用できるため、それに接続した従業員のPCやスマートフォンからでも、会社の電話番号で受発信ができます。

また、クラウドPBXなら、インターネットが利用できる環境であれば遠隔からでもオフィスにいるときと同じように外線や内線が利用できます。クラウドPBXを介した従業員同士の通話は内線になるため、通話料金が発生しないといったメリットもあります。

さらに、オフィスが停電した場合でも、従業員がテレワークをしている環境でインターネットが使える状態であれば、IP電話は引き続き利用することが可能です。

以上のように、クラウドPBXはBCP対策と相性の良いコミュニケーションツールといえます。

関連:【2024年版】インターネットFAX13社を徹底比較!目的別の選び方

BCP対策としてテレワーク環境を活用しよう

働き方改革やコロナ禍において導入したテレワーク環境は、BPC対策としても有効です。構築したテレワーク環境を継続して運用を続ければ、今後新たな緊急事態が発生した場合にも、事業継続や復旧がスムーズになります。

BCP対策はどの企業にも求められる対策ですが、何からどうすれば良いか分からず、手を付けないでいる企業もあるでしょう。

そのような場合、まずは今のテレワーク環境をそのまま継続運用し、BCP対策に沿う形に調整することから始めてみてはいかがでしょうか?

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この記事の編集者

編集者:Good×Media編集部

CIOReview APACにて日本で唯一「最優秀クラウド電話ソリューション企業」に選ばれた企業の専門家メンバーが、黎明期から10年以上にわたりクラウドPBXおよびクラウドCTIの分野で業界をリードしてきた実績と豊富な経験を基に、プロの視点で編集しています。

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