クラウドPBX
クラウドPBX 2021.07.15
いま注目のクラウドPBXのシェアとは、どのくらいの会社で使われているのか徹底分析
クラウドPBXとは、企業の内線電話をクラウド化するサービスです。
ビジネスフォンやボタン電話などともよばれる、企業の電話交換システムを総称してPBXと呼ばれます。
従来型のPBX(ビジネスフォン)は各拠点に主装置や交換機と呼ばれる装置を設置すると同時に各デスクには内線電話機を置き、交換機と内線電話機の間に電話線を張りめぐらせて内線電話の機能を実現する仕組みです。
クラウドPBXは、主装置や交換機の機能をクラウドで提供し、オフィスの電話回線をLANに統合します。クラウドPBXに移行すると、オフィスから主装置と交換機、電話線が必要なくなるため、オフィス内がシンプルになり運用コストを削減できます。
PBXには大きく分けると、同じ電話回線を複数の電話機でシェアできる「外線機能」と、オフィス内の電話機同士で通話ができる「内線機能」の二つがあります。
クラウドPBXも、同じように「外線機能」と「内線機能」を利用でき、さらにネット回線と統合されるため、パソコンで通話履歴を検索したり、通話録音データを聞き直したりできる「管理機能」が強化されます。
このように、クラウドPBXは企業にとって大きな導入メリットがあります。
クラウドPBXを提供する企業は増えている
クラウドPBXは最近登場した新しいジャンルの製品ですが、企業にとっての導入メリットが多いことから今後市場の拡大が期待されています。
クラウドPBX専業の会社が、クラウドサービスの販売ノウハウを生かして数多く参入しており、大きな注目を集めています。
またクラウドPBXは、PBXの販売業者や通信キャリアの関連企業など、これまで従来型PBXの販売に携わっていた企業も取り扱っています。
ビジネスフォンからクラウドPBXへの移行が進んでいる
PBXやビジネスフォンなどの従来型PBXは製品寿命が長く、リース契約が多いため、長期的に安定した入れ替え需要がある製品です。
そのため従来型PBX市場は安定市場として、年間250億円規模で長年ほぼ横ばいに推移してきました。
しかし、その状況もクラウドPBXの登場により変わりつつあります。
PBXなど通信機器メーカーの業界団体である、CIAJ(一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会)の市場予測では、長年横ばいだった従来型PBXの市場は、2017年ごろからゆるやかに減少傾向に転じ、2023年には10%も減少すると予測されているのです。
その理由の一つとして、CIAJは、従来型PBXからクラウドPBXへの移行があると分析しています。
クラウドPBXは従来型PBXと競合する商品であるため、クラウドPBXに移行すると、従来型のPBXがいらなくなってしまいます。
そのため従来型PBXを販売している企業は市場縮小を恐れクラウドPBXの販売に消極的な傾向にありますが、それでも多くの企業がクラウドPBXへの移行を選ぶと業界団体も予想しているのです。
クラウドPBXは今後急速に普及する
日本では、クラウドPBXを導入している企業はまだ少ないのが現状です。
アメリカに本社を置くソフトウェア会社、パラレルスは日本の中小企業市場におけるクラウドサービスの導入状況について調査した結果を発表しています。
調査によると、従業員250人以下の企業全体の15%がPBXを導入しているものの、クラウドPBXを利用している企業は1%に留まっていると報告されています。
日本でクラウドPBXの普及が進んでいない理由として、「半数以上の企業はがクラウドPBXの存在自体を知らない」という、情報不足が挙げられています。
アメリカでは、同規模の企業の10%がすでにクラウドPBXに移行しているとされており、同様の規模まで普及すると予想しています。
先に挙げた通り、クラウドPBXの認知度が低いのは、従来型PBXを販売する企業が消極的であるのが一つの要因です。
今後、日本でもクラウドPBXが認知されていくことで、急速に普及することが予測されています。
まとめ
クラウドPBXは、オフィス内に設置している従来型のPBXをクラウドに置き換える製品です。
企業にとって導入メリットが多い製品ですが、登場して間もないことから、認知度が低く、存在が知られていません。
日本におけるクラウドPBXのシェアは1%程度ですが、複数の企業や業界団体が今後急速に普及すると予測されています。
企業にとっての導入メリットが大きいクラウドPBXは、今後注目すべき製品です。